Words & Phrases
(参考文献:情報センター出版局「旅の指さし会話帳11 ベトナム」)
◆ベトナム語の声調
ベトナム語も中国語や広東語、タイ語と同じように声調があります。ベトナム語で最も難しいのは発音であると言われています。ベトナム語には6種類の声調があります。同じ単語でも声調が違うと意味が異なりますので注意が必要です。中国語のピンインと同じように、母音の上下に声調記号を付けます。
第1声:中国語の第1声と同じように上げも下げもせず、平坦に発音します。第1声は声調記号がありません。maと発音するとghostを意味します。
第2声:中国語の第2声と同じように声を上げて発音します。母音の上に
´ が付き、máでmotherを意味します。
第3声:中国語の第4声と同じように声を下げて発音します。母音の上に ` が付き、màでbutを意味します。
第4声:疲れたり、失敗したりした時の「はぁ〜あ」と言う感じで発音します。一度下げて、更に落として、最後に第1声に戻ります。母音の上に?の上の部分が付き、mảでtombを意味します。
第5声:中国語の第3声と同じように声を一度下げて跳ね上げる感じで発音します。母音の上に〜が付き、mãでhorseを意味します。
第6声:低く抑え付けるような感じで発音します。小さい子に「めっ」と叱る時のような感じです。母音の下に ・ が付き、mạでseedlingを意味します。
◆phát âm(ファッ2 アーム1)
ここではベトナム語の発音についてご紹介します。ベトナム語はアルファベットを用いて標記しますが、英語にはない文字も存在します。ここではその文字の発音の仕方、および、英語と違う発音をする文字をご紹介します。
まず、母音です。
Ă, ă:「アー」と読みます。aの上に凹型のお皿を書きます。普通のaよりも高い音調で少し短めに「ア」と発音します。
Â, â:「アー」と読みます。aの上に凸型のお皿を書きます。日本語の「アー」と同じ発音をします。
Ê, ê:「エー」と読みます。eの上に凸型のお皿を書きます。口を少し閉じ気味にして「エ」と発音します。
Ô, ô:「オー」と読みます。oの上に凸型のお皿を書きます。口を丸めて「オー」と発音します。
Ơ, ơ:「オー」と読みます。oの横に’を付けます。日本語の「オ」と同じ発音をします。
Ư, ư:「ウ」と読みます。日本語の「ウ」と同じ発音をします。
次に、子音です。
tr, ch:チャ行の発音をします。
x, s:サ行の発音をします。
d, gi, r:北部ではザ行の発音になりますが、南部ではdとgiはヤ行、rはラ行の発音になります。
Đ, đ:dに横棒が入ります。この文字だとダ行の発音になります。
ph:ファ行の発音になります。
kh:カ行の発音になります。
v:北部ではヴァ行の発音になりますが、南部ではヤ行の発音になります。
anh:北部では「アイン」と発音しますが、南部では「アン」と発音します。
◆tiếng địa phương(ティエン2 ディア6 フォン1)
ベトナムは南北に伸びる、面積約33万km2の国です。この面積は日本の九州を除いた面積とほぼ同じです。当然、方言も存在します。
ベトナムの標準語はハノイを中心とする北部弁がもとです。しかし、北部と南部(中部も含め)では発音の違いがあるだけでなく、微妙な声調や、使う言葉にも違いがあります。
外国人が北部で南部弁を使うとぞんざいな印象を与えやすく、南部で北部弁を使うと、標準ベトナム語としては正しいものの、何となく堅く気取ったような印象を与えることがあります。ここでは標準語である北部弁を基本とし、北部弁と南部弁で使われる単語自体が異なり、コミュニケーションに支障が出るようなケースでは両方を併記します。例えば、コップは北部弁ではcốc(コック2)、南部弁ではly(リー1)と言います。
◆Cách gọi(カック2 ゴイ6)
ここではベトナム語での呼びかけ言葉についてご紹介します。
まず、Excuse me.に相当する言い方でも2通りあります。
1つ目は、相手の名前を言ってから、ơi(オーイ1)と言う言葉を続け、「人の名前, ơi.(〜, オーイ1)」のように言う言い方です。日本語にも似ているので覚えやすいですね。それから、もう少し丁寧な感じで、Xin lỗi, 〜.(シン1 ロイ5)と言う言い方とがあります。こちらの方がよく使われます。
それから人称代名詞です。1人称である「私」でさえも、3通りの言い方があります。最も一般的なのはtôi(トイ1)です。交際が浅く親しくない人にも使われます。それから、更に謙って言うem(エーム1)があります。謙譲語として使われ、「わたくし」と言った具合です。それから、日本語の「オレ」に相当するtao(ターオ1)があります。
2人称は更に細分化されます。英語で言うとMr.やMs.、フランス語で言えばMonsieurやMadamと数通りで終わるのですが、ベトナム語は物凄く細分化されます。
まず、祖父母を呼ぶ場合や祖父母くらいの年齢の人に対して、または、公式の場で男性や女性を呼ぶ場合、男性にはông(オン1)、女性にはbà(バー3)と言います。
次に、両親のお兄さんやお姉さん、自分の親より年上と思われる相手を呼ぶ場合はbác(バック2)と言います。これは男女同形です。そして、両親の弟や妹、自分の親より年下と思われる相手を呼ぶ場合は、男性にはchú(チュー2)、女性にはcô(コー1)と言います。
更に、お兄さんやお姉さん、自分より年上だが親ほどではない場合、年下の相手を尊重して言う場合は、男性にはanh(北部ではアイン1、南部ではアン1)、女性にはchị(チ6)と言います。
同い年くらいの、親しくない相手を呼ぶ場合はbạn(バン6)、同い年くらいの、特に親しい相手を呼ぶ場合はmày(マイ3)、弟や妹、年下の人、男性が妻や恋人に呼びかける場合はem(エム1)と言います。
3人称も細分化されます。公式の場で男性や女性を呼ぶ場合のông(オン1)やbà(バー3)、年下の相手を尊重して言う場合のanh(北部ではアイン1、南部ではアン1)やchị(チ6)、年下の人に呼びかける場合のem(エム1)の後ろに、ấy(ェイ2)を添えます。
◆phương hướng(フォン1 フォーン2)
ここでは、ベトナム語での方向の表現の仕方をご紹介します。
まずは方位から。eastはphía Đông(フィア2 ドン1)、westはphía Tây(フィア2 タイ1)、southはphía Nam(フィア2 ナーム1)、northはphía Bắc(フィア2 バック2)と言います。
他にもfrontはtrước(チュオック2)、backはsau(サウ1)、besideはbên cạnh(ベン1 カイン6)、upperはtrên(チェン1)、lowerはdưới(ズオーイ2)、rightはbên phải(ベン1 ファーイ4)、leftはbên trái(ベン1 チャーイ2)、hereはchỗ này(チョー5 ナイ3)、thereはchỗ đó(チョー5 ドー2)、over thereはchỗ kia(チョー5 キア1)と言います。
◆phương tiện giao thông(フォン1 ティエン6 ザオ1 トン1)
ここでは、ベトナム語での乗り物の言い方をご紹介します。
まず、ベトナムで注目すべき乗り物は、シクロです。自転車の前かごの部分が座席になっていて、そこにお客さんを前向きに座らせて移動するものです。日本の人力車で、運転手とお客さんが逆になったと考えれば早いと思います。シクロはベトナム語でxích-lô(シック2 ロ1)と言います。他にはバイク型のタクシーで、バイタクシーと言うものがあります。ベトナム語ではxe ôm(セー1 オム1)と言います。
その他には普通にタクシー(ベトナム語ではtắc xi(タック2 シー1))、庶民によく利用される大衆バス(ベトナム語ではxe đò(セ1 ドー3))があります。
その他の乗り物の言い方もご紹介しておきましょう。trainは北部ではtàu hỏa(タウ3 ホア4)、南部ではxe lửa(セ1 ルア4)、airplaneはmáy bay(マイ2 バイ1)、busはxe buýt(セ1 ブイッ2)、shipはtàu thuyền(タウ3 テュウェン3)、bicycleはxe đạp(セ1 ダップ6)、motorbikeはxe máy(セ1 マイ2)、rent-a-carはxe ôtô(セ1 オト1)と言います。
◆con số(コン1 ソー2)
ここではベトナム語での数字の言い方をご紹介します。
không(ホン1=zero)、một(モッ6=one)、hai(ハーイ1=two)、ba(バー1=three)、bốn(ボン2=four)、năm(ナム1=five)、sáu(サウ2=six)、bảy(バイ4=seven)、tám(ターム2=eight)、chÍn(チン2=nine)、mười(ムオーイ3=ten)。mười một(ムオーイ3 モッ6=eleven)、mười hai(ムオーイ3 ハーイ1=twelve)、mười ba(ムオーイ3 バー1=thirteen)、mười bốn(ムオーイ3 ボン2=fourteen)、mười lăm(ムオーイ3 ラム1=fifteen)、mười sáu(ムオーイ3 サウ2=sixteen)、mười bảy(ムオーイ3 バイ4=seventeen)、mười tám(ムオーイ3 ターム2=eighteen)、mười chÍn(チン2=nineteen)、hai mươi(ハイ1
ムオーイ1)。
注意すべきところは、15、25、35…などでは、fiveはnăm(ナム1)ではなく、lăm(ラム1)に変わります。それから、20、30、40…などでは、zeroを表す部分がmười(ムオーイ3)ではなく、mươi(ムオーイ1)、もしくは、chục(チュック6)と言うことが出来ます。
そして、one hundredはtrăm(チャム1)、one thousandは北部ではnghìn(ギーン2)、南部ではngàn(ガン2)と言います。
最後に、ベトナム語での通貨単位をご紹介します。ベトナムの通過はドンであり、đồng Việt Nam(ドン2 ヴィエッ6 ナーム1)と言います。日本円はyên Nhật(イェン1 ニャッ6)と言い、アメリカドルはđô la mỹ(ド1
ラ1 ミー5)と言います。アメリカドルの言い方は某アニメキャラを覚えておけば良さそうですね。
◆màu(マウ3)
ここではベトナム語での色の表し方をご紹介します。
まず、redはđỏ(ドー4)、blueはxanh da trời(サイン1 ザー1 チョーイ3)、greenはxanh lá cây(サイン1 ラー2 カイ1)と言います。purpleはtím(ティーム2)、whiteはtrắng(チャン2)、blackはđen(デーン1)と言います。それから、yellowはvàng(ヴァン3)またはmàu gà
con(マウ3 ガー3 コーン1)とも言います。pinkはhồng(ホーン3)、brownはnâu(ナウ1)、goldはvàng(ヴァーン3)、silverはbạc(バッ6)と言います。
◆đồng hồ(ドン3 ホー3)
ここではベトナム語での時間の言い方についてご紹介します。
まず、đồng hồ(ドン3 ホー3)とはclockのことです。午前はbuổi sáng(ブーイ4 サーン2)、午後はbuổi chiều(ブーイ4 チウ3)と言います。正午はchính ngọ(チン2 ゴ6)またはmười hai giờ trưa(ムオーイ 3 ハーイ1 ゾー3 チュア1)と言います。giờ(ゾー3)は〜時、trưa(チュア1)は昼を意味します。深夜はkhuya(フヤ1)と言います。
時間を言いたい場合は、「○ giờ(ゾー3) ○ phút(フッ2)」と言います。phút(フッ2)は〜分を表します。また、30分を表す半はrưỡi(ズオーイ5)と言います。
◆ngày tháng năm(ガイ3 タン2 ナーム1)
ここではベトナム語での月日や年数の言い方をご紹介します。
基本パターンは日本語と逆になります。日本語の場合、月日、年数は「○○年○○月○○日」と言うように言いますが、ベトナム語ではnăm(ナーム1) ○○ tháng(タン2) ○○ ngày(ガイ3) ○○のように言います。○○の部分にはベトナム語での数字の言い方が入ります。数字は上記の「con số(コン1 ソー2)」を参照して下さい。
曜日の言い方はどちらかと言うとポルトガル語に似ています。まず、SundayはChủ Nhật(チュー4 ニャッ6)と言います。MondayからSaturdayまではThứ + 2〜7までの数字を入れます。
ただし、4月とWednesdayだけは言い方が変わります。fourはベトナム語でbốn(ボン2)と言いますが、4月はtháng tư(タン2
トゥー1)と言い、WednesdayはThứ tư(トゥー2 トゥ1)と言います。
ベトナムでは暦は日本と同じく太陽暦(Dương lịch(ズオン1 リッ6))を使用しますが、お正月やお祭りなどの伝統行事については旧暦(=太陰暦(Âm lịch(アム1
リッ6))を使用します。
◆mười hai con giáp(ムオーイ3 ハーイ1 コン1 ザップ2)
ベトナム語でも十二支はあるようです。このmười hai con giáp(ムオーイ3 ハーイ1 コン1 ザップ2)は十二支を意味します。興味深いのは十二支に登場する動物達です。ベトナムでの十二支を順番に挙げてみると…。
まず、Tí(ティ-2=mouse)、Sửu(スー4=buffalo)、Dần(ザン3=tiger)とここまでは日本と一緒です。ところが4番目に来るのは何と、Mão(マオ5=cat)なんです。日本だと4番目はThỏ(トー4=rabbit)なんですけどね。
そして、Thìn(ティン3=dragon)、Tị(ティ6=snake)、Ngọ(ゴ6=horse)とここまでも日本と一緒です。ところが8番目に来るのはMùi(ムーイ3=goat)です。Cừu(クー3=sheep)と似ているような気もしますね。
それから、Thân(タン1=monkey)、Dậu(ザウ6=chicken)、Tuất(トゥアッ2=dog)と続き、最後は中国と同じでHợi(ホイ6=pig)となります。Lợn rừng(ロン6
ズン3=wild boar)ではないのですね。
◆ăn cơm(アン1 コム1)
ここではベトナムの食事情についてご紹介します。
まず、ベトナムの食生活についてです。朝食(bữa ăn
sáng(ブア5
アン1 サン2))は朝6時頃から、家族と家の近所で、または通勤・通学路上でと外食が基本なんだそうです。フォーやおこわ、バゲットなどを食べます。
11時過ぎくらいからお昼休みに入って昼食(bữa ăn
trưa(ブア5
アン1 チュア1))。自宅に帰り家族と、職場近くで同僚等と食べます。
夕食(bữa ăn tối(ブア5 アン1 トイ2))は、早い人で18時くらいから。家族と一緒に自宅で、が基本なんだそうです。
朝食と夕食は、日本とは逆のようですね。日本では夕食に家族や友人と外で、と言うことが多いように思います。
それから、何と言ってもベトナムでは主食のお米のご飯が一番大切なんだそうです。大鉢、大皿に用意されたご飯、スープ、おかずを自分の茶碗に取りつつ、大勢で食べます。
そして、相手にもよるのですが、自宅に招かれたのであれば、必ず手土産を用意しましょう。一般的には果物や菓子、酒、タバコなどを持参するのが良いようです。
◆món ăn
tiêu biểu(モン2
アン1 ティウ1 ビウ4)
ここではベトナムでの有名な料理の話をしてみたいと思います。
まず、何と言っても忘れてはならないのは生春巻きでしょう。ベトナム語ではgỏi cuốn(ゴイ4 クオン2)と言います。ところが、ベトナムでは日本ほどポピュラーではなく、主に中南部地域でおやつとして食べられているんだそうです。
それから、ベトナムを旅行し、夕食には必ず出たのがエビのすり身ちくわです。ベトナム語ではchạo tôm(チャオ6 トーム1)と言います。感じとしてははんぺんのような感じでした。
北部(ハノイなど)の有名な料理としては、犬肉料理があります。ベトナム語ではmón thịt chó(モン2
ティッ6 チョー2)と言います。日本人としてはちょっと遠慮したいところですが…。
南部(ホーチミン市など)の有名な料理としては、象耳魚(エレファントフィッシュ)のフライ(ベトナム語ではcá tai
tương chiên xù(カー2 タイ1 トゥオン1 チエン1 スー3))、ヤギ鍋(ベトナム語ではlẩu dê(ラウ4
ゼー1))などがあります。
ここで、ベトナム語での味覚の言い方をご紹介しておきましょう。まず、spicyはcay(カイ1)、saltyはmặn(マン6)、sweetyはngọt(ンゴッ6)、sourはchua(チュア1)、bitterはđắng(ダーン2)、smell goodはthơm(トーム1)と言います。
◆phở(フォー4)
最後に、ベトナムで有名な料理と言えばこれを忘れてはいけませんね。料理と言うより、軽食と言った方がいいかもしれません。
phở(フォー4)は、ベトナムで最もポピュラーな米麺で、コシのない独特の食感が特徴です。ライムを絞り、ヌクマムや酢を加えて食べます。種類としては、鶏肉が入ったフォー(phở gà(フォー4 ガー3))、牛肉が入ったフォー(phở bò(フォー4 ボー3))などがあります。phở gà(フォー4 ガー3)はあっさりとしており、phở bò(フォー4 ボー3)はわりと脂っこい感じです。ベトナムへ行った時、朝食会場にもあり、朝からこんなの食えるのかとびっくりしたほどでした。