Words & Phrases
(参考文献:情報センター出版局「旅の指さし会話帳16 モンゴル」)
◆モンゴル語の文字と歴史
モンゴル国では、チンギス・カン時代以来使用して来たモンゴル文字を1940年代に入り廃止してキリル文字に切り替え、新たな正書法を制定しました。従来のモンゴル文字はチュルク系のウイグル人が使用していたウイグル文字を借り入れたものです。1204年にチンギス・カンがナイマン部を征服した際に、捕らえたタタトンガなる人物を側近に置き、モンゴル諸王の子弟にウイグル文字でモンゴル語を書写することを命じたと中国の史書「元史」に記されています。一般にこれがモンゴル文字の起源とされています。モンゴル文字で記された最古の史料は、いわゆる「チンギス・カン碑文」であり、西暦1225年頃に遡ります。
このモンゴル文字は縦書きで、行は左から右へ進んで行きます。日本語の縦書きと逆になります。内モンゴルでは現在でもキリル文字は用いずこの文字を使用しています。
◆モンゴル国とモンゴル語
モンゴルと言えばチンギス・カン、ゴビ砂漠、大草原を思い浮かべるのが長い間、大方の日本人が抱き続けたイメージだと思いますが、モンゴル語はチュルク語(広義のトルコ語)、満州・ツングース語とともにアルタイ語諸語に属します。日本語と語順が同じでSOV(主語+目的語+動詞)型の言語です。言葉の構造も類似していますのでその点は、学びやすいと言えるでしょう。
モンゴル国(モンゴル人民共和国を1992年に改称)は旧ソ連のペレストロイカの影響を受けて1989年末から民主化が始まり、政治・経済体制が大転換しました。それ以来日本との関係も政治、経済、文化、スポーツ各方面で徐々に密になって来ていますが、近年は特に大相撲での朝青龍、白鵬をはじめモンゴル力士の活躍により私達日本人にとって一層近い国になりました。彼らの話す日本語を聞いていると、その習得の速さ、程度は、他の外国人力士に比べてはるかに勝っているのが分かります。語順が日本語と同じで、文法の構造も日本語に近いことがその大きな理由と思われます。
モンゴル語の話される地域はかなり広範囲にわたっています。モンゴル国をはじめ中国領の内モンゴル、新疆ウイグル、青海省、甘粛省などの中国諸地域やロシア連邦内のバイカル湖周辺のブリヤート共和国、カスピ海に近いカルムイク共和国などで話されています。アフガニスタンのモゴール語もモンゴル系の言葉です。モンゴル語の分布する領域がこのように広大であることは、かつてチンギス・カンがモンゴルを統一してモンゴル帝国を築き、それを継承したクビライ・カンが元朝を築いてあのユーラシアに跨る世界帝国が14世紀半ばまで存続したことに遠因があるでしょう。
モンゴル国の国土は日本の4倍あまりもありますが、人口は約260万人に過ぎません。過疎の国なのです。その90%以上はモンゴル語を母語としています。モンゴル国の首都ウランバートルには100万人近くが居住し、市場経済に移行後は極端な都市集中化が進んでいます。
◆Мэндчилгээ(メンドゥチルゲー)
ここではモンゴル語での挨拶の表現をご紹介します。
まず、基本中の基本であるHello.はСайн байна уу?(サエン バエノー)と言います。この表現はGood
morning.でも、Good afternoon.でもGood
evening.でも、How are you?としても使用することが出来るオールマイティーな挨拶表現です。他の表現として使いたい場合は、Good morning.であれば、Сайхан амарсан уу?(サエハン アマルサノー)と言い、厳密にはDid you have a good sleep?の意味になります。Good evening.であれば、Оройн мэнд.(オロイン メンドゥ)と言い、Good night.はСайхан нойрсоороой.(サエハン ノイルソーロイ)と言います。
次にThank you.は、Баярлалаа.(バイラルラー)、Thank
you very much.であれば、Их
баярлалаа.(バイラルラー)、You’re
welcome.は、Зугээр эугээр.(ズゲール ズゲール)と言います。
そしてI’m sorry.は、Уучлаарай.(オーチラーラエ)と言い、Excuse
me.としても使用することが出来ます。そしてGood bye.は、Баяртай.(バヤルタエ)と言います。
◆Дуудах(ドーダハ)
ここではモンゴル語での呼びかけの表現をご紹介します。
英語のExcuse
me.に相当するのは、Уучлаарай.(オーチラーラェー)と言います。普通に「ねえ」と言いたい場合は、Хүүе.(フーイ)と言います。
名前を知らない方や、丁寧に相手に呼びかけたい場合、これらの表現の後に、Та.(ター)と続けます。英語のyouの尊敬語に相当します。親しいyouの場合は、Чи.(チー)と言います。また、次のような呼びかけの言葉もあります。
目上の男性へは、Ах аа.(アハー)と言います。目上の女性へは、Эгц ээ.(エグチェー)と言います。更に年齢が上の、おじいちゃんへは、Өвөө.(ウブゥー)と言い、おばあちゃんへは、Эмээ.(エメー)と言います。
反対に、自分よりも年下、特に若者か子供へ呼びかける時には、Миний дүү.(ミニー ドゥー)と言います。
◆Өөрийгөө танилцуулах(ウーリーグー タニルツォーラハ)
ここではモンゴル語での自己紹介の表現をご紹介します。
まず、My name is 〜.と言う場合ですが、モンゴル語では、Миний нэр
〜.(ミニー ネル 〜)と言います。миний(ミニー)がmy、нэр(ネル)がnameに相当します。逆に、What
is your name?と尋ねたい場合は、Таны нэр
хэн бэ?(タニ ネレ ヘン ベ)と言います。таны(タニ)がyour、нэр(ヘン)がwho、бэ(ベ)は疑問助詞で「〜ですか?」を表わします。モンゴル語ではWhat is your
name?は、直訳すると「あなたの名前は誰ですか?」になります。
次に、What
do you do?と職業を尋ねたい場合は、Ямар ажил
хийдэг вэ?(ヤマル アジル ヒーデグ ウェ)と言います。ямар(ヤマル)はhow、ажил(アジル)はwork、хийдэг(ヒーデグ)はalways do、вэ(ウェ)は疑問助詞で「〜ですか?」を表わします。これに対してoffice
workerであればажилцин(アジルチン)、teacherであればбагш(バグシ)、doctorであればэмц(エムチ)、unemployedであればажилгүй(アジルグイ)のように言います。
続いて、I am Japanese.のように自分の国籍を言いたい場合は、Би 〜 хүн.(ビ 〜 フン)と言います。би(ビ)がI、хүн(フン)がpeopleを表わします。言い換えれば、「〜です」に相当する言葉がないと言うことです。JapaneseであればЯпон хүн(ヤポン フン)、AmericanであればАмерик хүн(アメリク フン)、ChineseであればХятад хүн(ヒャタダフン)、MongolianであればМонгол хүн(モンゴル フン)のように言います。
◆Зүг(ズグ)
ここではモンゴル語での方向の言い方をご紹介します。directionのことをモンゴル語でзүг(ズグ)と言います。モンゴル語では方角と方向が対をなしています。
まず、frontとsouthがワンセットになります。урд(オルドゥ)またはөмнө(ウムヌ)と言います。反対に、backとnorthがワンセットになり、хойт(ホエトゥ)またはхойно(ホエヌ)と言います。
次に、leftとeastがワンセットになります。зүүн(ズーン)と言います。反対に、rightとwestがワンセットになり、баруун(バローン)と言います。
その他に、go straightはцигээрээ(チゲーレー)、returnはбуцаж ирэх(ボツァジ イレフ)と言います。
次に場所を表わす言い方です。hereはэнд(エンドゥ)、thereはтэнд(テンドゥ)と言います。
◆Тоо(トー)
ここではモンゴル語での数字の言い方をご紹介します。numberのことをモンゴル語でтоо(トー)と言います。
まず、0〜10です。тэг(テグ=zero)、нэг(ネグ=one)、хоёр(ホヨル=two)、гурав(ゴラウ=three)、дөрөв(ドゥルゥ=four)、тав(タウ=five)、зургаа(ゾルガー=six)、долоо(ドロー=seven)、найм(ナエム=eight)、ес(エス=nine)、арав(アラウ=ten)。
次に11〜19です。10を表わすарав(アラウ)をарван(アルワン)と変化させて、その後ろに1の位を表わす数字を入れれば出来上がりです。例えば、elevenだったらарван нэг(アルワン ネグ)、fifteenだったらарван тав(アルワン タウ)のように言います。
次に20〜100です。хорь(ホリ=twenty)、гуч(ゴチ=thirty)、дөч(ドゥチ=forty)、тавь(タウィ=fifty)、жар(ジャル=sixty)、дал(ダル=seventy)、ная(ナイ=eighty)、ер(エル=ninety)、зуу(ゾー=hundred)。
途中の数字については、それぞれの10の位の単語の語末にин(イン)またはн(ン)を付けて表わします。例えば、twenty-oneだったらхорин нэг(ホリン ネグ)、thirty-sevenだったらгучин долоо(ゴチン ドロー)、eighty-sevenだったらнаян долоо(ナイン ドロー)のように言います。
◆Өнгө(ウング)
ここではモンゴル語での色の言い方をご紹介します。colorのことをモンゴル語でөнгө(ウング)と言います。
whiteはцагаан(ツァガーン)、blackはхар(ハル)、redはулаан(オラーン)、greenはногоон(ノゴーン)、blueはхөх(フフ)、yellowはшар(シャル)、pinkはягаан(ヤガーン)、orangeはулбар шар(ウラバル シャル)、brownはхүрэн(フレン)、purpleはхөх ягаан(フフ ヤガーン)と言います。
navyはгүн цэнхэр(グン ツェンヘル)、light blueはцэнхэр(ツェンヘル)と言います。light greenはшар ногоон(シャル ノゴーン)と言います。
そして、goldはалтлаг(アルタグ)、silverはмөнгөлөг(ムングルグ)と言います。
◆Цаг(ツァグ)
ここではモンゴル語での時間の言い方をご紹介します。timeのことをモンゴル語でцаг(ツァグ)と言います。
What
time is it now?と言うのを、モンゴル語ではОдоо цаг хэд вэ?(オド ツァグ ヘドゥ ウェ)と言います。одоо(オド)がnow、цаг(ツァグ)がtime、хэд(ヘドゥ)はhow muchとかhow
many、вэ(ウェ)は疑問助詞です。
これに対し、○時○分と言いたい場合は、上述の数字を○の中に入れ、○
цаг(ツァグ) ○ минут(ミヌートゥ)のように言います。更に、AMを表わしたい場合はүдээс өмнө(ウデース ウムヌ)、PMを表わしたい場合はүдээс хойш(ウデース ホイシ)と言います。それから、正午はүд дунд(ウドゥ ドンドゥ)と言います。
それから、morningはөглөө(ウグルー)、afternoonはөдөр(ウデゥル)、eveningはорой(オロェ)、そしてnightはшөнө(シュヌ)と言います。
◆Жил сар(ジル サル)
ここではモンゴル語での年月の言い方をご紹介します。yearのことをモンゴル語でжил(ジル)、monthのことをсар(サル)と言います。ただ、yearを表わす言葉でも、西暦を表わす時は、он(オン)と言います。dayのことはөдөр(ウドゥル)、weekのことはдолоо
хоног(ドロー ホノグ)と言います。
それからtodayはөноодөр(ウヌードゥル)、yesterdayはөцигдөр(ウチグドゥル)、tomorrowはмаргааш(マルガーシ)と言います。
this
monthはэнэ сар(エン サル)、next monthはирэх сар(イレフ サル)、last monthはөнгөрсөн сар(ウングルスン サル)と言います。
そして、this yearはэнэ жил(エン ジル)、next yearはирэх жил(イレフ ジル)、last yearはөнгөрсөн жил(ウングルスン ジル)と言います。
◆Сар өдөр(サル ウドゥル)
ここではモンゴル語での月日の言い方をご紹介します。dayのことをモンゴル語でөдөр(ウドゥル)と言います。
まず、月の言い方です。нэгдүгээр сар(ネゲドゥゲール サル=January)、хоёрдугаар сар(ホヨルドガール サル=February)、гуравдугаар сар(ゴルワドガール サル=March)、дөрөвдүгээр сар(ドゥルウドゥゲール サル=April)、тавдугаар сар(トウドガール サル=May)、зургадугаар сар(ゾルガドガール サル=June)。
долдугаар сар(ドロドガール サル=July)、наймдугаар сар(ナイマドガール サル=August)、есдүгээр сар(イェスドゥゲール サル=September)、аравдугаар сар(アルワドガール サル=October)、арван нэгдүгээр сар(アルワン ネゲドゥゲール サル=November)、арван хоёрдугаар сар(アルワン ホヨルドガール サル=December)。
続いて、曜日の言い方です。нэг дэх өдөр(ネゲ デヒ ウドゥル=Monday)、хоёр дахь өдөр(ホヤル デヒ ウドゥル=Tuesday)、гурав дахь өдөр(グルワ デヒ ウドゥル=Wednesday)、дөрөв дэх өдөр(ドゥルベ デヒ ウドゥル=Thursday)、тав дахь өдөр(タウ デヒ ウドゥル=Friday)、хагас сайн өдөр(ハガス サイン ウドゥル=Saturday)、бүтэн сайн өдөр(ブテン サイン
ウドゥル=Sunday)。
◆Улирал ба уур амьсгал(オリラル バ オール アミスガル)
ここではモンゴル語での季節と天気の言い方をご紹介します。улирал(オリラル)がseason、уур амьсгал(オール アミスガル)がweatherに相当します。
まず、季節です。хавар(ハワル=spring)、зун(ゾン=summer)、намар(ナマル=autumn)、өвөл(ウブル=winter)。
次に天気の言い方です。цэлмэг(ツェルメグ=sunny)、бүрхэг(ブルヘグ=cloudy)、бороо(ボロー=rainy)、цас(ツァス=snowy)。それから、халуун(ハローン=hot)、дулаан(ドラーン=warm)、сэрүүн(セルーン=cool)、хүйтэн(フイテン=cold)。
◆Хоолонд орох(ホーロンドゥ オロホ)
ここではモンゴル語での食事に関する語彙をご紹介します。
まず、breakfastはөглөөний хоол(ウグルーニー ホール)、lunchはөдрийн хоол(ウドリーン ホール)、dinnerはоройн хоол(オロイン ホール)と言います。
次に、spoonはхалбага(ハルバガ)、forkはсэрээ(セレー)、knifeはхутга(ホトガ)、chopsticksはсавх(サウフ)と言います。
それから味覚です。goodはамттай(アムトゥタエ)、light flavorはхөнгөн(フングン)、saltyはшорвог(ショルウォグ)、sweetieはцихэрлэг(チヘルレグ)、sourはисгэлэн(イスゲレン)、greasyはтостой(トストイ)、bitterはгашуун(ガショーン)、そしてhotはхалуун(ハローン)と言います。
◆Гэр бүл(ゲル ブル)
ここではモンゴル語での家族の表現をご紹介します。
fatherはаав(アーウ)、motherはээж(エージ)、grandfatherはөвөө(ウブー)、grandmotherはэмээ(エメー)、sonはхүү(フー)、daughterはохин(オヒン)、brothersはах дүү(アハ ドゥー)、sistersはэгц дүү(エグチ ドゥー)、elder brotherはах(アハ)、elder sisterはэгц(エグチ)、younger brotherはдүү(ドゥー)、younger sisterはохин дүү(オヒン ドゥー)と言います。
父方のuncleはавга(アウガ)、父方のauntはавга эгц(アウガ エグチ)、母方のuncleはнагац ах(ナガツ アハ)、母方のauntはнагац эгц(ナガツ エグチ)と言います。
parentsはэцэг эх(エツェグ エヘ)、friendはнайз(ナイズ)、husbandはнөхөр(ヌフル)、wifeはэхнэр(エフネル)、そしてchildはхүүхэд(フーヘドゥ)と言います。
◆代名詞
最後に、モンゴル語での代名詞をご紹介します。
Iに相当するのがби(ビー)、youに相当するのが丁寧に言う場合はта(ター)、親しいyouの場合はчи(チー)、heまたはsheに相当するのがтэр(テル)、weに相当するのがбид(ビッド)、複数形のyouに相当するのがта нар(ター ナル)、theyに相当するのがтэд(テド)と言います。また、whoに相当するのがхэн(ヘン)と言います。
それから、thisに相当するのがэнэ(エネ)、thatやitに相当するのがтэр(テル)、そしてwhichに相当するのがаль(アリ)と言います。