Words & Phrases

(参考文献:情報センター出版局「旅の指さし会話帳14 フィリピン」)

 

◆フィリピン語=タガログ語

 フィリピン語は、1987年の改定憲法によってフィリピンの国語として規定された言語で、実体はタガログ語と同じと考えます。しかし、フィリピンは7107の島々からなる島国で、全土には200あまりの言語が存在します。タガログ語は最も重要な言葉ではありますが、もともとはマニラ周辺の一地方の言語に過ぎません。

 このため全国民の中でフィリピン語を理解するのは70%、日常生活で使用しているのは30%に満たないと言う統計もあります。しかし、フィリピン語によるテレビ番組や映画の全国への浸透によってフィリピン語は着実に全国に普及しつつあります。

 

◆フィリピンの言語地図

 上記をもっと詳細に、地図で説明して行くと下記の通りとなります。

 まず、北部。ルソン島の北部ではイロカーノ語(Ilocano)が話されています。フィリピンの全人口に対して10%です。同じくルソン島の北部のごく一部の地域ではパンパンガ語(Pampanga)割合は全人口の3%です。首都マニラを中心としたルソン島南部ではタガログ語(Tagalog)で全人口の約30%。同じくルソン島南東部ではビコール語(Bicol)が話され、全人口の6%です。

 中部のレイテ島ではワライ語(Waray)が話され、割合は全人口の5%。その西にあるネグロス島とパナイ島ではイロンゴ語(Ilonggo)が話され、割合は全人口の9%です。

 そして南部セブ島を中心にセブアノ語(Cebuano)が話されています。割合は全人口の25%で、フィリピンの第2の言語と言われています。

 

◆フィリピン語での挨拶

 まず、午前零時から11時頃まで使用出来るのが、Good morning.に相当するMagandang umaga.(マガンダン ウマーガ)です。そして、午前11時頃から午後2時頃まで使用出来るのが、Good afternoon.に相当するMagandang tanghali.(マガンダン タンハーリ)です。そして、午後2時頃から午後6時頃まで使用出来るのが、Good afternoon.に相当するMagandang hapon.(マガンダン ハーポン)です。そして、午後6時頃から午前零時頃まで使用出来るのが、Good evening.に相当するMagandang gabi.(マガンダン ガビ)です。また、英語のHi.に相当するような、殆ど1日中使用出来るのが、Magandang araw.(マガンダン アーラウ)です。これが、セブアノ語になると下記の通りになります。

 

◆セブアノ語での挨拶

 まず、午前零時から11時頃まで使用出来るのが、Good morning.に相当するMaayong buntag.(マアーヨン ブンタッグ)です。そして、午前11時頃から午後2時頃まで使用出来るのが、Good afternoon.に相当するMaayong udto.(マアーヨン ウット)です。そして、午後2時頃から午後6時頃まで使用出来るのが、Good afternoon.に相当するMaayong hapon.(マアーヨン ハーポン)です。そして、午後6時頃から午前零時頃まで使用出来るのが、Good evening.に相当するMaayong gabi-i.(マアーヨン ガビイ)です。また、英語のHi.に相当するような、殆ど1日中使用出来るのが、Maayong adlaw.(マアーヨン アドゥラウ)です。

 

◆Pagtawag(パグターワッグ)

 ここではフィリピン語での呼びかけ方についてご紹介します。

 まず、面白いのが、親しくない「おじさん」や「おばさん」をそれぞれ、mama(マーマ)、ale(アーレ)と言うことです。男性なのにmama(マーマ)、おばさんなのに「あれ」と言うのが面白いと思います。

 親しみを込めた場合だと、おじさんはtiyo(ティーヨ)またはtito(ティート)、おばさんはtiya(ティーヤ)またはtita(ティータ)と言います。また、これらの言葉の後ろに名前を付けて、「〜おじさん」、「〜おばさん」と言うことも可能です。

 次に親しくないがやや年齢の近い年上の男性にはkuya(クーヤ)またはmanong(マノン)、女性にはate(アーテ)またはmanang(マナン)と言います。このkuya(クーヤ)とate(アーテ)も後ろに名前を付けて言うことが可能です。manong(マノン)、manang(マナン)は本来は「お兄さん」、「お姉さん」の意味があります。

 フィリピン語はスペイン語や英語の影響を多く受けた言語でもあります。上記のtiyo(ティーヨ)またはtito(ティート)、tiya(ティーヤ)またはtita(ティータ)、manong(マノン)、manang(マナン)はラテン語系の言語の性別によって形が変わる名詞の変化と良く似ています。その他にも自分よりも年下の男性に向かってはiho(イーホ、これはスペイン語のhijo(イーホ)に似ている)、女性に向かってはiha(イーハ、これはスペイン語のhija(イーハ)に似ている)と言います。

 英語の影響を受けた単語としては、目上の男性に向かってSir(フィリピン語ではセル)やMister(フィリピン語ではミステル)、目上の女性に向かってMa'am(マアム)、Missと言うところです。

 

◆direksiyon(ディレクシヨン)

 ここではフィリピン語での方向の言い方をご紹介します。

 まず、northはhilaga(ヒラーガ)、southはtimog(ティーモッグ)、eastはsilangan(シラーガン)、westはkanluran(カンルーラン)と言います。

 前はharap(ハラップ)、後ろはlikod(リコッド)、上はitaas(イタアス)、真上はibabaw(イバーバウ)、下はibaba(イババ)、真下はilalim(イラーリム)、ここはdito(ディート)、そこはdiyan(ジャン)、あそこはdoon(ドオン)と言います。

 更に、rightはkanan(カーナン)、leftはkaliwa(カリワ)と言います。

 

◆numero(ヌーメロ)

 ここではフィリピン語での数字の表し方をご紹介します。

 フィリピン語での数字の表し方は規則性がかなりあります。なので、その規則性を覚えてしまえば、簡単に言うことが出来ます。

 まず、0〜10までご紹介しましょう。sero(セーロ=zero)、isa(イサ=one)、dalawa(ダラワ=two)、tatlo(タトゥロ=three)、apat(アーパット=four)、lima(リマ=five)、anim(アーニム=six)、pito(ピト=seven)、walo(ワロ=eight)、siyam(シャム=nine)、sampu(サンプ=ten)。

 次に11〜20までをご紹介します。ここから規則性が現れます。10の位をlabin(ラビン)と言いますが、1の位の数字が母音で始まる場合のみ、labingと綴りが変わり(発音は同じです)、10の位と1の位をハイフンで結びます。labing-isa(ラビンイサ=eleven)、labindalawa(ラビンダラワ=twelve)、labintatlo(ラビンタトゥロ=thirteen)、labing-apat(ラビンアーパット=fourteen)、labinlima(ラビンリマ=fifteen)、labing-anim(ラビンアーニム=sixteen)、labimpito(ラビンピト=seventeen)、labing-walo(ラビンワロ=eighteen)、labinsiyam(ラビンシャム=nineteen)、dalawampu(twenty)。

 次に30〜100までの言い方です。tatlumpu(タトゥルンプ=thirty)、apatnapu(アーパットナプ=forty)、limampu(リマンプ=fifty)、animnapu(アーニムナプ=sixty)、pitumpu(ピトゥンプ=seventy)、walumpu(ワルンプ=eighty)、siyamnapu(シャムナプ=ninety)、sandaan(サンダアン=one hundred)。各「〜十」の場合は、2〜9までの数字に-mpu(ンプ)または-napu(ナプ)を付けます。

 では最後に、100までの数字でそれ以外の端数の表し方をご紹介します。基本的に10の位の数字に’t(ット)を繋げれば出来上がりです。例えば、dalawampu’t isa(ダラワンプット イサ=twenty-one)、tatlumpu’t anim(タトゥルムプット アーニム=thirty-six)などのようになります。

 

◆numero-kastila(ヌーメロ カスティーラ)

 ここではフィリピンでよく使用されるスペイン数字についてご紹介します。

 フィリピンの日常生活ではフィリピン語、英語、スペイン語の数字が混じり合って使われています。時間を表す時はスペイン語、ものの値段を表す時はフィリピン語とスペイン語。特に市場などではスペイン語の使用頻度が高いです。

 とは言え、さほど難しく考えることはありません。スペイン語の数字の言い方さえ覚えておけば大丈夫なわけですから。特徴は、スペイン語とフィリピン語での数字は綴りが少しずつ変わっています。

 まずは、0〜10までの言い方です。sero(セーロ=zero、スペイン語ではcero)、uno(ウーノ=one)、dos(ドス=two)、tres(トレス=three)、kuwatro(クワートロ=four、スペイン語ではcuatro)、singko(シーンコ=five、スペイン語ではcinco)、seis(セイス=six)、siyete(シイェーテ=seven、スペイン語ではsiete)、otso(オーチョ=eight、スペイン語ではocho)、nuwebe(ヌウェーベ=nine、スペイン語ではnueve)、diyes(ジェス=ten、スペイン語ではdiez)。

 続いて、onse(オーンセ=eleven、スペイン語ではonce)、dose(ドーセ=twelve、スペイン語ではdoce)、trese(トレーセ=thirteen、スペイン語ではtrece)、katorse(カトールセ=fourteen、スペイン語ではcatorce)、kinse(キーンセ=fifteen、スペイン語ではquince)、disiseis(ジシセイス=sixteen、スペイン語ではdieciséis)、disisiyete(ジシシイェーテ=seventeen、スペイン語ではdiecisiete)、disiotso(ジシオーチョ=eighteen、スペイン語ではdieciocho)、disinuwebe(ジシヌウェーベ=nineteen、スペイン語ではdiecinueve)、beynte(ベーインテ=twenty、スペイン語ではveinte)。

 

◆kulay(クーライ)

 ここではフィリピン語での色の言い方をご紹介します。colorはフィリピン語でkulay(クーライ)と言います。

 まず、whiteはputi(プティ)、blackはitim(イティム)と言います。redはpula(プラ)、yellowはdilaw(ディラウ)、blueはasul(アスール)、greenはberde(ベルデ)またはluntian(ルンティーアン)と言います。

 purpleはkulay ube(クーライ ウーベ)、pinkはkulay rosas(クーライ ローサス)、brownはkulay kape(クーライ カペ)と言います。ube(ウーベ)は実が紫色の根菜、rosas(ローサス)はバラ、kape(カペ)はコーヒーを指します。

 goldはkulay ginto(クーライ ギント)、silverはkulay pilak(クーライ ピーラック)と言います。

 

◆mga araw, buwan at taon(マガ アーラウ, ブワン アット タオン)

 ここではフィリピン語での年月日の表し方についてご紹介します。

 まず、日付はika(イカ)+フィリピン数字で表します。このika(イカ)とは「〜番目の」と言う意味に相当します。しかし、月や曜日の名前はng(ナン)+スペイン語での月や曜日の名前を言います。ここが混乱しやすいところです。

 まずは月の言い方です。Enero(エネーロ=January)、Pebrero(ペブレーロ=February)、Marso(マールソ=March)、Abril(アブリル=April)、Mayo(マーヨ=May)、Hunyo(フーニョ=June)、Hulyo(フーリョ=July)、Agosto(アゴースト=August)、Setyembre(セチェームブレ=September)、Oktubre(オクトーブレ=October)、Nobyembre(ノビェームブレ=November)、Disyembre(ディシェームブレ=December)。読み方はスペイン語と似ているのですが、綴りが大幅に変わっていたり、スペイン語では単語の頭は小文字なのに、フィリピンスペイン語では大文字だったりと若干の違いがあります。

 続いて曜日の言い方です。Lunes(ルーネス=Monday)、Martes(マルテス=Tuesday)、Miyerkules(ミイェールコレス=Wednesday)、Huwebes(フウェーベス=Thursday)、Biyernes(ビイェールネス=Friday)、Sabado(サーバド=Saturday)、Linggo(リンゴ=Sunday)。これらもスペイン語との違いは月の言い方と同じですが、日曜日だけ言い方が全く違いますので注意が必要です。

 

◆kalendaryo(カレンダーリョ)

 ここではフィリピンの1年についてご紹介します。

 まず、どこでも同じなのですが、1月1日は元旦です。フィリピン語ではBagong taon(バーゴン タオン)と言います。因みにフィリピン語であけおめはManigong bagong taon!(マニゴン バーゴン タオン)と言います。

 1月第3週には、アティ・アティハン祭(Piyesta ng Ati-atihan(ピイェースタ ナン アティアティーハン))が行われます。収穫と幼きイエス(サントニーニョ)の像を祝うパナイ島アクラン州カリボのお祭りで、フィリピンの祭りの中でも人気のある祭りの1つです。人々は派手な色彩のコスチュームを身にまとい、身体を全て黒く塗り、町中を特有のリズム「ハラ・ビラ」に合わせて熱狂的に踊ります。

 3月末から4月上旬にかけて、キリストに関連した祝日やお祭りが開催されます。フィリピンではクリスマスとともに、キリストの受難と死、そして復活までを記念する聖週間が重要な年中行事です。聖木曜日(Huwebes santo(フウェーベス サント))と聖金曜日(Biyernes Santo(ビイェールネス サント))が祝日に定められており、土曜日と復活祭の日曜日を併せて普通4連休となります。復活祭は毎年同じ日付ではなく、それは古代ユダヤの暦に基づいて「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と言う決め方をしています。

 そしてフィリピンは3月から5月が特に暑くなります。その5月に、乾季の明ける雨が降り始め、色とりどりの花が咲き乱れます。この恵みに感謝して「花の5月(Flores de Mayo(フローレス デ マヨ))」と言うイベントが各地で開催されます。この間、学生は長期休暇に入ります。だいたい3月下旬から6月上旬までのお休みがあるようです。

 そして、6月中旬が新学期(umpisa ng pasukan(ウムピサ ナン パスカン))が始まります。

 6月12日が独立記念日(Araw ng kalayaan(アーラウ ナン カラヤアン)です。1898年のこの日、フィリピン革命でスペインからの独立を宣言したことにちなみ制定されました。

 9月23日はフィリピン命名の日です。1559年Paのこの日にフィリピンと名付けられました。フィリピン語でPagpapangalan sa Pilipinas ng Filipinas(パグパパガーラン サ ピリピーナス ナン フィリピーナス)と言います。

 11月2日は死者の日の言い、日本で言うところのお盆に相当します。フィリピン語ではAraw ng mga patay(アーラウ ナン マガ パタイ)と言います。

 12月24日はクリスマスイブ。フィリピン語でBisperas ng Pasko(ビスペラス ナン パスコ)と言います。

 12月25日はクリスマス。フィリピン語でPasko(パスコ)と言います。

 そして、12月30日はリサール記念日(Araw ni Rizal(アーラウ ニ リサール))。フィリピン社会におけるカトリック修道会の圧制ぶりを批判したホセ・リサール(Josえ Rizal)が、1896年のこの日に処刑されました。フィリピンの民族主義思想の育成に尽力をそそいだフィリピンの英雄を記念して多くの人が道を行進します。

 

◆pagkain(パグカーイン)

 ここでは食事に関係した言葉を紹介したいと思います。

 まず、I’m hungry.はフィリピン語でGutom na ako.(グトム ナ アコ)と言います。

 調味料は次のように言います。魚醤はpatis(パティス)と言います。塩はasin(アシン)、砂糖はasukal(アスカル)、ソースはsawsawan(サウサーワン)、醤油はtoyo(トーヨ)と言います。日本の醤油とはちょっと味が違うようです。コショウはpaminta(パミンタ)、酢はsuka(スーカ)と言います。

 次に飲み物についてです。水はtubig(トゥービッグ)、日本茶は英語のgreen teaを、紅茶はteaを使うようです。コーヒーはkape(カペ)、ビールはbirと書いて(ビール)と読みます。酒はalak(アーラック)と言います。

 続いて味覚についてです。美味しいはフィリピン語でmasarap(マサラップ)、美味しくないは否定を表すhindi(ヒンディ)を前に付けてhindi masarap(ヒンディ マサラップ)と言います。

 甘いはmatamis(マタミス)、辛いはmaanghang(マアンハン)、塩辛いはmaalat(マアーラット)、酸っぱいはmaasim(マアーシム)、苦いはmapait(マパイトゥ)と言います。

 

◆pamilya(パミリア)

 最後に家族の言い方についてご紹介します。フィリピン語で家族はpamilya(パミリア)と言います。

 私や僕のことはako(アコ)と言います。両親はmagulang(マグーラン)と言い、父はtatay(タタイ)またはitay(イタイ)、母はnanay(ナナイ)またはinay(イナイ)と言います。

 次に兄弟姉妹ですが、兄弟のことをフィリピン語でkapatid(カパティッド)と言います。兄はkuya(クーヤ)、弟はnakababatang kapatid na lalaki(ナカババータン カパティッド ナ ララーキ)と言います。姉はate(アーテ)、妹はnakababatang kapatid na babae(ナカババータン カパティッド ナ ババーエ)と言います。

 それから。息子や娘はanak(アナック)、夫や妻はasawa(アサーワ)と言います。赤ちゃんはsanggol(サンゴル)と言います。

 ここで、フィリピン独特の教父、教母についてご紹介します。簡単に言えば、実の父母ではなく、名づけの父母のことを指します。男性はninong(ニーノン)、女性はninang(ニーナン)と言います。経済的に貧しいフィリピン社会ならではの、子どもを支えるスポンサーシステム的な面があるそうです。1人の子供に教父、教母とも3〜6人ずついるのが普通で、子供を精神的、経済的に支えて行くのが本来の役目なんだそうです。