Swahili
Vol.2
(参考文献:情報センター出版局「旅の指さし会話帳 ケニア」)
◆スワヒリ語とは
スワヒリと言う言葉は、アラビア語の「海岸の」の複数形(スワーヒリー)に由来する。スワヒリ語は7世紀頃から奴隷や象牙を求めて東アフリカに交易に来たアラブ商人が話すアラビア語と、現地のバンツー系言語の文法体系を基礎にして出来上がり、東アフリカ海岸部で発達した言語である。
現在ではスワヒリ語は、アフリカの中東部、すなわちケニア、タンザニアからウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、更にはザイール東部にかけての広大な地域に話されている。また、周辺部のソマリア、モザンビーク、ザンビアなどでも一部話されている。更には、インド洋のコモロ諸島でも話されているし、またインド洋を越え、アラビア半島のオマーンやインドの西部にも、東アフリカからの帰国民を中心にスワヒリ語を話す人達がいる。
◆多言語使用
アフリカの多くの地域は、多言語使用地域である。実際、アフリカでは1人の人が3つも4つも言語を話すのは、ごく普通のことだ。そう言う場合話すのは、自分の母語と周辺の部族語、そして地域共通語(lingua franca)と国の国語あるいは公用語である。
たとえばタンザニアでは、一説によれば120あまりの部族語が話されている。その言語が自分の言語と似ていることもあるし、全く別の場合もある。いずれにしても、その異なった言語を話す人達とコミュニケーションを行なうには、その言語が話せるか、あるいはその部族の人がこちらの言語を理解できる場合は問題ないが、そうでない場合には、そこに第3の言語が介在せざるをえない。そして、タンザニアの場合は、スワヒリ語がその役目を担うのである。
ケニアの場合では、ケニア人は大抵自分の部族語、公用語の英語、国語のスワヒリ語を話す。しかし、都市部の若い世代はスワヒリ語よりむしろ教育の証である英語を話したがる。そのため、覚えたてのスワヒリ語でケニア人に話しかけても、英語で返事が返って来て、がっかりするかもしれない。ケニアではそれほど英語が幅広く浸透しているのである。
◆スワヒリ語の発音
スワヒリ語の発音は日本語のローマ字読みとほぼ同じで、日本人にとっては発音しやすい。発音のアクセントは殆どの場合、後ろから2番目の音節に置かれている。ただ、注意が必要な発音は以下の通りとなっている。
・dh:英語のthatのthの音。舌先をちょっと噛み発音する。dhahabu(ザハブ=gold)など。
・gh:gをうがいをする時のように喉から「ガー」と出す。フランス語のrの発音と似ている。ghali(ガリ=expensive)など。
・m:mの後に子音が来る場合、口を閉じて「ム」と発音する。mtoto(ムトト=child)など。
・n:nの後に子音が来る場合、口を閉じて「ン」と発音する。nzuri(ンズーリ=good、fine)など。
・ng’:鼻から抜ける「ンガ」の音になる。ng’aa(ンガー=shine)など。
・th:英語のthinkのthの音。舌先をちょっと噛み発音する。thamani(サマニ=worth)など。
・s:ローマ字のsに同じ。basi(バスィ=bus)など。