Portuguese Vol.2
(参考文献:白水社「ポルトガルのポルトガル語」)
◆はじめに
Vol.2では、ブラジルのポルトガル語と、ポルトガルのポルトガル語の主な違いをご紹介します。
◆ポルトガルのポルトガル語特有の代名詞
ブラジルのポルトガル語では、2人称は兄弟姉妹や友人、家族、親しい間柄関係なく、単数形はvocê(ヴォセー)、複数形はvocês(ヴォセース)を使います。
しかし、ポルトガルのポルトガル語では、親しい間柄や同等の関係、年下の相手に対してはtu(トゥ)を使います。
例えば、英語のHow are you?を親しい友人にポルトガル語で表現する時、ポルトガルのポルトガル語ではComo estás?(コモ エスタス)と言うのに対し、ブラジルのポルトガル語ではComo está?(コモ
エスタ)と言います。estásは動詞estar(エスタール=be)の2人称単数形、está(エスタ)は動詞estar(エスタール)の2人称単数敬称形、3人称単数形になります。
動詞の活用もVOL.3以降で見て行きます。
◆発音の違い
・diや語末の-deは、ブラジルのポルトガル語では「ヂ」と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語では「ディ」や「ドュ」と発音されます。例えば、dia(=day)はブラジルのポルトガル語ではdia(ヂーア)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdia(ディーア)と発音されます。また、idade(=age)はブラジルのポルトガル語ではidade(イダーヂ)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではidade(イダードュ)と発音されます。
・tiや語末の-teは、ブラジルのポルトガル語では「チ」と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語では「ティ」や「テ」と発音されます。例えば、tio(=uncle)はブラジルのポルトガル語ではtio(チオ)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではtio(ティオ)と発音されます。また、ponte(=bridge)はブラジルのポルトガル語ではponte(ポンチ)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語はponte(ポンテ)と発音されます。
・音節末の-sや一部の-es、-zはブラジルのポルトガル語では「ス」と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語では「シュ」と発音されます。例えば、adeus(=Good bye.)はブラジルのポルトガル語ではadeus(アデウス)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではadeus(アデウシュ)と発音されます。また、este(=this)はブラジルのポルトガル語ではeste(エスチ)と発音されるのに対し、ポルトガル語のポルトガル語ではeste(エシュテ)と発音されます。
因みに、リオデジャネイロでは音節末の-sや一部の-es、-zはポルトガルのポルトガル語同様に「シュ」と発音される傾向にあります。
・-sや-zで終わる単語の前に母音の「イ」が入る場合があります。例えば、dez(=ten)はブラジルのポルトガル語ではdez(デイス)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdez(デシュ)と発音されます。
・語頭のr、母音に挟まれた-rr、l, m, sの後に来る-r、語末の-rはブラジルのポルトガル語では舌が口蓋に付かないように発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語では日本語で言うラ行の発音をします。例えば、rua(=street)はブラジルのポルトガル語ではrua(フア)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではrua(ルア)と発音されます。また、tenro(=soft)はブラジルのポルトガル語ではtenro(テンホ)と発音されるのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではtenro(テンロ)と発音されます。
◆語彙の違い
ポルトガルとブラジルの間には、相当数の語彙の違いが見られます。ここでは一部をご紹介します。
英語のbusは、ブラジルのポルトガル語ではônibus(オーニブス)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではautocarro(アウトカッロ)と言います。
英語のtrainは、ブラジルのポルトガル語ではtrem(トレム)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではcomboio(コンボイオ)と言います。
英語のbreakfastは、ブラジルのポルトガル語ではcafé
da manhã(カフェ ダ マニャン)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではpequeno-almoço(ペケーノ
アルモーソ)と言います。
英語のjuiceは、ブラジルのポルトガル語ではsuco(スーコ)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではsumo(スーモ)と言います。
英語のice creamは、ブラジルのポルトガル語ではsorvete(ソルヴェチ)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではgelado(ジェラード)と言います。
英語のpineappleは、ブラジルのポルトガル語ではabacaxi(アバカシ)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではananás(アナナース)と言います。
英語のdogは、ブラジルのポルトガル語ではcachorro(カショーホ)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではcão(カォン)と言います。
英語のsportsは、ブラジルのポルトガル語ではesporte(エスポルチ)なのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdesporto(デスポルト)と言います。
◆会話表現の違い
英語のHello!やHi!は、ブラジルのポルトガル語ではOi!(オイ)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではOla!(オラ)と言います。
英語のHow are you?は、ブラジルのポルトガル語ではComo vai?(コモ ヴァイ)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではComo estás?(コモ
エスタス)またはComo está?(コモ エスタ)と言います。
英語のGood bye!は、ブラジルのポルトガル語ではTchau!(チャウ)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではAdeus!(アデウス)と言います。
◆数詞の違い
英語のsixteenは、ブラジルのポルトガル語ではdezesseis(ヂゼセイス)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdezaseis(デザセイス)と言います。
英語のseventeenは、ブラジルのポルトガル語ではdezessete(ヂゼセチ)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdezasette(デザセッテ)と言います。
英語のnineteenは、ブラジルのポルトガル語ではdezenove(ヂゼノーヴィ)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語ではdezanove(デザノーヴェ)と言います。
最後に、電話の表現で数字の6は、ブラジルのポルトガル語ではmeia(メイア=a half)と言うのに対し、ポルトガルのポルトガル語では数字の読み方seis(セイス)をそのまま使います。