Hebrew
Vol.2
(参考文献:白水社「ニューエクスプレス 現代ヘブライ語」)
◆はじめに
ヘブライ文字で使用しているフォントはTimes New Romanです。多分、どのOfficeでもインストールされていると思うので、正常にご覧いただけると思いますが。
◆ヘブライ語の仲間
ヘブライ語は「セム語族」と呼ばれる言語グループに属する言語です。現在最もよく知られているセム語の例がアラビア語です。それで、ヘブライ語とアラビア語は、「アヴ」と「アブ」(父)、「シャローム」と「サラーム」(平和)など共通の語彙が多いだけでなく、動詞の語形成など文法の面でも似通った点があります。文字を右から左へ横書きする点も同じです。
最も古いヘブライ語である古典ヘブライ語は約3000年前から1000年近くにわたってパレスチナで生きた言語として使われていました。その殆ど唯一の資料が『旧約聖書』です。
◆ヘブライ語の歴史
古典ヘブライ語に続くヘブライ語は、紀元後200年頃に編纂されたユダヤ教の口伝律法集『ミシュナ』に代表されるため、「ミシュナ・ヘブライ語」と呼ばれます。その後、中東やヨーロッパ各地のユダヤ人社会で、ユダヤ教の祈りや典礼の中で聖なる言葉として生き続け、また学問や文学のための文語として連綿と受け継がれました。ミシュナ・ヘブライ語と現代ブライ語の間に用いられたヘブライ語は「中世(または中間期)へブライ語」と呼ばれます。現代ヘブライ語は19世紀に生きた言語として再生されたヘブライ語です。現代ヘブライ語の父と称されるエリエゼル・ベンイェフダとその時代の人達は、忍耐強い努力によって、話者がいなくなって久しい言葉を日常の話し言葉、書き言葉として復活されることに成功しました。
聖書の言葉、古典ヘブライ語自体は話者のいない死語となりましたが、ヘブライ語聖書がユダヤ人社会で連綿と書き写され、読み継がれ、少し形を変えたヘブライ語が文語として受け継がれて現代へブライ語に繋がっています。
◆現代ヘブライ語の特徴
現代へブライ語は語彙など古典ヘブライ語によく似ている面もありますが、古典へブライ語に比べるとあらゆる点で遥かに易しい言語です。
ヘブライ文字は22文字、最初の2文字をとってこれらのセットを「アレフベト」と呼びます。文字は右から左へ横書きします。発音に関しては、母音は日本語と同じく5つ、子音の数は20、日本語と比べて特に難しい発音は殆どありません。
ヘブライ文字は原則として子音だけを表し母音は表記されません。このように現代へブライ語の新聞や書籍は普通、ヘブライ文字(子音字)だけで印刷されますが、辞書や子供向けの本、詩集など一部の出版物には母音記号が用いられます。母音記号は文字の下や左に付く点や短い線で、本来聖書写本に付けられた記号です。聖書はヘブライも字だけで書かれた写本と朗読によって受け継がれましたが、時間の経過と共に正確な読みが分からなくなってしまわないようにと、7世紀頃に母音記号やアクセントなどを含む発音補助記号が考案されました。これを「マソラ記号」と言います。
母音だけでなく、子音の数も現代へブライ語では古典へブライ語より減っています。このような子音と母音の簡略化は各地のユダヤ人社会で保持されていたヘブライ語の発音の異なる伝統が折衷された結果です。
現代へブライ語には地域差としての方言はありませんが、出身地の言葉による「訛り」の違いがあります。