Bengali Vol.1
(参考文献:白水社「ニューエクスプレス ベンガル語」)
◆はじめに
Vol.1ではベンガル語で使われるベンガル文字を紹介します。ベンガル文字で使用しているフォントはVrindaです。多分、どのOfficeでもインストールされていると思うので、正常にご覧いただけると思いますが。
◆母音字と母音記号
ここではベンガル文字による表記を表します。母音字は基本的に11文字です。
অ:「ア」と「オ」の中間の音の時と、はっきり発音する「オ」の時とがあります。子音字は単独ではこの母音を伴って発音されます。ক(コ)とそのまま発音します。
আ:「ア」の音を表します。はっきり口を大きく開けて発音します。母音記号は子音字の右に縦線を引き、কা(カ)と書きます。
ই:「イ」の音を表します。「ロッショ・イ」とも言います。日本語のイよりもっと左右に唇を張り発音します。母音記号は子音字の左側に付き、কি(キ)と書きます。
ঈ:「イー」の音を表します。「ディルゴ・イ」とも言います。日本語のイよりもっと左右に唇を張り発音します。母音記号は子音字の右側に付き、কী(キー)と書きます。
উ:「ウ」の音を表します。「ロッショ・ウ」とも言います。日本語のウよりもっと口を突き出して発音します。母音記号は子音字の縦線の下に付きます。কু(ク)と書きます。ただし、いくつかの文字は例外です。
ঊ:「ウー」の音を表します。「ディルゴ・ウ」とも言います。日本語のウよりもっと口を突き出して発音します。母音記号は子音字の縦線の下に付きます。কূ(クー)と書きます。ただし、いくつかの文字は例外です。
ঋ:「リ」の音を表します。文字の伝統的配列では母音字として扱います。母音記号は子音字の縦線の下に付き、কৃ(クリ)と書きます。
এ:「ア」と「エ」の中間の音の時と、はっきり発音する「エ」の時とがあります。日本人には「エ」に近く聞こえます。母音記号は子音字の左側に付き、কে(ケ)と書きます。
ঐ:「オイ」と言う2重母音です。母音記号は子音字の左側に付き、কৈ(コイ)と書きます。
ও:「オ」の音を表します。অ(オ)と同じ発音です。母音記号は子音字の左右に付き、কো(コ)と書きます。
ঔ:「オウ」と言う2重母音です。母音記号は子音字の左右に付き、কৌ(コウ)と書きます。
◆鼻母音
ঋ(リ)を除くベンガル語の母音には鼻母音も存在します。母音を発音しつつ、鼻からも空気を出し、口を閉じない要領です。
鼻母音の表わし方は、母音字または母音記号の付いた子音字の横棒の上にお皿と点のような符号を付けます。これをチョンドロビンドゥと言います。例えば、অ(オ)を鼻母音化すると、横棒の上にお皿と点が付いて、অঁ(オン)と言う発音になります。
◆子音字と半子音字、その他記号
子音字は基本は32文字で、他に結合子音字などがあります。子音字そのものの発音の際には、通常子音にঅ(オ)を添えて発音します。子音だけを発音するには、ホロント記号(子音字の下に払い記号を付ける)か、子音字の一部を取り除いた半子音字にします。
その他の記号としては2文字あります。
ক, ক্:「コ」の音を表します。日本語のカ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
খ, খ্:「コ」の音を表します。呼気を強く出すカ行の音です。
গ, গ্:「ゴ」の音を表します。日本語のガ行の音です。
ঘ, ঘ্:「ゴ」の音を表します。呼気を強く出すガ行の音です。
ঙ, ঙ্:「ウンゴ」の音を表します。鼻子音のンガ行の音です。
চ, চ্:「チョ」の音を表します。日本語のチャ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ছ, ছ্:「チョ」の音を表します。呼気を強く出すチャ行の音です。
জ, জ্:「ジョ」の音を表します。日本語のジャ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ঝ, ঝ্:「ジョ」の音を表します。呼気を強く出すジャ行の音です。
ঞ, ঞ্:「イヨ」の音を表します。鼻子音のンヤ行の音です。
ট, ট্:「ト」の音を表します。日本語のタ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ঠ, ঠ্:「ト」の音を表します。呼気を強く出すタ行の音です。
ড, ড্:「ド」の音を表します。日本語のダ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ড়, ড়্:「ド」の音を表します。呼気を強く出さないように注意が必要です。もともとインド系文字にはなかった文字で、新しい音や表記上の便宜のために作られました。舌の前部を硬口蓋に近づけた後、舌先を上前歯の先に向けて放します。
ঢ, ঢ্:「ド」の音を表します。呼気を強く出すダ行の音です。
ঢ়, ঢ়্:「ド」の音を表します。呼気を強く出すダ行の音です。もともとインド系文字にはなかった文字で、新しい音や表記上の便宜のために作られました。舌の前部を硬口蓋に近づけた後、舌先を上前歯の先に向けて放します。
ণ, ণ্:「ノ」の音を表します。そり舌にしたナ行の音です。
ত, ত্:「ト」の音を表します。日本語のタ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
থ, থ্:「ト」の音を表します。呼気を強く出すタ行の音です。
দ, দ্:「ド」の音を表します。日本語のダ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ধ, ধ্:「ド」の音を表します。呼気を強く出すダ行の音です。
ন, ন্:「ノ」の音を表します。日本語のナ行の音です。
প, প্:「ポ」の音を表します。日本語のパ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ফ, ফ্:「ポ」の音を表します。呼気を強く出すパ行の音です。
ব, ব্:「ボ」の音を表します。日本語のバ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
ভ, ভ্:「ボ」の音を表します。呼気を強く出すバ行の音です。
ম, ম্:「モ」の音を表します。日本語のマ行の音です。
য, য্:「ジョ」の音を表します。「オントスト・ジョ」と言います。日本語のジャ行の音です。呼気を強く出さないように注意が必要です。
য়, য়্:この文字は一種の黙字で、特別の子音を表す訳ではなく、付加される母音記号の母音のみが発音されます。
র, র্:「ロ」の音を表します。巻き舌音になるラ行の音です。
ল, ল্:「ロ」の音を表します。舌の前ふちを上の歯茎にあて、舌の両側から呼気を出すラ行の音です。英語のLの発音の要領です。
শ, শ্:「ショ」の音を表します。「タルボ・ショ」と言います。日本語のシャ行の音です。
ষ, ষ্:「ショ」の音を表します。「ムルドンノ・ショ」と言います。日本語のシャ行の音です。
স, স্:「ショ」の音を表します。「ドント・ショ」と言います。日本語のシャ行の音です。
হ, হ্:「ホ」の音を表します。日本語のハ行の音です。
ং:「オヌッシャル」と言います。「ウンゴ」の音を表します。鼻子音のンガ行の音です。
ঃ:「ビショルゴ」と言います。サンスクリット語からの借用語に現れます。現代ベンガル語では、直後の子音を促音化させて発音されます。