Dialects Vol.23
(参考文献:三省堂「都道府県別全国方言小辞典 愛知県」)
◆Vol.23では愛知県の方言をご紹介します。
◆挨拶表現(名古屋)
朝=おはよーごぜぁーます
夕方=こんばんわ
別れ=せぇーなら
感謝=ありがとーごぜぁーます
訪問=ごめんくだせぁー
◆愛知の方言
愛知県の方言は、西日本方言と東日本方言の境目に位置するため、東西双方の特徴が見られる。
例えば、断定の「(雨)だ」や「買う」の過去形は東日本と同じ「(雨)ダ」「買ッタ」であるが、否定の「(見)ない」や「起きる」の命令形は西日本と同じ「(見)ン」「起きヨ」である。
愛知県の方言はかつての尾張藩域の尾張方言と、岡崎藩域の三河方言とに分かれる。更に、三河方言は多分に地形が影響して、岡崎市を中心とした西三河方言と、豊橋市を中心とした東三河方言(奥三河を含む)とに分けられる。例えば、「あのね」の文末表現「ネ」は、尾張方言では「あのナモ」、西三河方言では「あのノン」となる。
音声面では、尾張方言の「メァーメァー言葉」(連母音アイの融合化)はよく知られているが、ウイやオイもウィー、オェーとなる。これが瀬戸市ではアー、ウー、オーとなる。甘い:アメァー(尾張)、アマー(瀬戸)。薄い:ウスィー(尾張)、ウスー(瀬戸)。匂い:ニオェー(尾張)、ニオー(瀬戸)。
◆尾張方言と三河方言
尾張方言と三河方言には以下のような違いがある。
疲れる:えらい(尾張)、こんきー(三河)。〜だろう:〜だろー(尾張)、〜ずらー(三河)。いらっしゃい:いりゃーせ(尾張)、おいでん(三河)、ください:ちょーでぁー(尾張)、おくれん(三河)。行こう:いこまい(尾張)、いかまい(三河)。見ない:みーせん(尾張)、みやせん(三河)。
◆分野別方言(左は標準語、右は都道府県別方言)
里芋=さといも
さつまいも=さつまいも
牛=うしんぼー
かたつむり=でんでんむし
おたまじゃくし=たべらっこ
梅雨=つゆり
かみなり=ゆーだち
夕立=よーだち
恐ろしい=おそがい
捨てる=すてる
甘い=あまい
酸っぱい=すい
塩辛い=からい
大きい=でかい
小さい=ちいさい
鬼ごっこ=おにごと
かくれんぼ=かくれんぼ
瀬戸物=せともの
◆愛知県の特徴的な方言(カッコはその方言が話されている地域。また、カ行半濁点はガ行鼻濁音を表す)
あかべっそ=皮膚の赤むけ状態(尾張)
あだに=思いのほか(尾張)
ありやい=全部
いせて=わざと(西三河)
えらい=疲れる、大変な
おーだいする=満腹で満足する(尾張)
おーばかる=広く陣取ること(尾張)
おざない=大雑把でだらしない(三河)
おすんばー=恥ずかしがりや(三河)
おそがい=恐ろしい
おとましー=もったいない、かわいそう(三河)
おもこましー=ずうずうしい(尾張)
およずく=手だけの伸ばす(尾張)、ためらう、よろける(東三河)
かかまんじる=独占する(東三河)
がとーもない=予想外(東三河)
かんかない=どうにもならない(尾張)
かんこーする=熟考する
きさんじー=素晴らしい(東三河)
けっこい=美しい(東三河)
こっさらしー=生意気な(尾張)
こすこす=満杯に(尾張)
こんきー=疲れる(三河)
こんきと=しばしば
ずる=運ぶ(西三河)
そそくる、そそくう=繕う
たいだい=わざわざ
たしない=不足している
だだくさもない=たくさん(三河)
ちんちん=非常に熱い状態
とーめんこ=通行止め(尾張)
どさまく=たくさん(東三河)
はば=仲間はずれ
はむ=かがむ(三河)
ひきずり=すき焼き(尾張)
ひこつい=趣がある、理屈っぽい(尾張)
びーし=模造紙
ひずるい=まぶしい(三河)
ひどるい=まぶしい(尾張)
べんこーな=生意気(東三河)
へんねしー=うらやましい(尾張)
またい=確実で間違いがない(尾張)
ままえる=弁償する(尾張)
まわしする=準備する
みえる=いらっしゃる
やけずる=やけどする
やっとかめ=久しぶり
らんごかない=乱暴な(三河)