Dialects Vol.13

(参考文献:三省堂「都道府県別全国方言小辞典 東京都」)

 

Vol.13では東京都の方言をご紹介します。

 

◆東京弁

 ここで挙げる東京弁とは、東京旧市内の方言である。

 東京旧市内(旧15区)と言うのは、東京都の頭部に位置する23区の中心部分で、江戸の末に御府内と言っていた地域と重なる。幕末から明示にかけて、士工商のあらゆる職業の人々が生活し、周辺の関東方言とは異なった言語の島を作っていた。下記に列挙する方言は、その東京旧市内で生まれ育った高年層の人々が今でも使ったり聞いたりする言葉である。

 

◆東京弁の特徴

 a)アクセントは東京式アクセント。

 b)語頭以外のガ行が鼻濁音のガ行になる。

 c)母音の無声化が強く、それによってアクセントが変化することが多い。

 d)軽蔑や憎しみなど強調の意味を含めた接頭語「こ(小)」「なま(生)」が付く言葉があり、語頭を高く発音することが多い。

  例)小うるさい、小生意気、生っちょろい、生半可など

 e)関西などでも言う東京方言がある。

  例)おっしょさん(お師匠さん)、おてんとさま(お日様)、さぶい(寒い)など

 f)東京弁の訛り

  例)ヒをシと発音するもの、またはシをヒと発音するもの。シュをシと発音するもの、またはジュをジと発音するもの。

    「〜してしまう」を「〜ちまう」「〜じまう」、「〜ちゃう」、「〜じゃう」と発音するもの。(行ってしまう=行っちまうなど)

    「アイ」「アエ」「オイ」「イエ」を「エー」と発音するもの。(大工=デーク、お前=オメーなど)

 

◆分野別方言(左は標準語、右は都道府県別方言)

里芋=さといも

さつまいも=さつま

牛=うし

かたつむり=かたつむり

おたまじゃくし=おたまがえる

梅雨=にゅーばい、しけ

かみなり=かみなり

夕立=ゆうだち

恐ろしい=おっかない

捨てる=うっちゃる

甘い=あまい

酸っぱい=すっぱい

塩辛い=しょっぱい、からい

大きい=でかい

小さい=ちっちゃい

鬼ごっこ=おに、おにこ

かくれんぼ=かくれこ

瀬戸物=せともの

 

◆東京都の特徴的な方言(カッコはその方言が話されている地域。また、カ行半濁点はガ行鼻濁音を表す)

あいのしゅく=賑やかな所と賑やかな所の間の、ちょっと寂れている所、合いの手

あたじけない=けちだ

いいまのふり=いい気になって

いき゜たない=かっこうがだらしない

いじょく=家の中で、多くは座ってする仕事、またその職業の人

うんじょーする=疲れたり困ったりしていやになり、どうしてよいか分からなくなる

おーかわ=隅田川の下流

おかったるい=十分でない、物足りない

おさんじつ=1日、15日、28日を言う

おしまい=化粧

おしまいちゃんちゃん=すっかりおしまいの意味

おそなわる=遅くなる

おちゃっぴー=おしゃべりで元気な女の子

おつもり=酒がなくなること

おひざおくり=あとからの人を入れるために座っている人に詰めてもらうこと

おれくち=知人の死

かけ゜のぞき=ちょっと顔を出すこと

きぶっせい=気が詰まる

ざっかけない=粗野で、がさつで、丁寧でない

しっこしがない=根性、意気地がない

しばや=芝居の訛り

のて=山の手

はんちく=中途半端

はんてんぎ=とび職、大工、左官など屋職の人達

ひあわい=くっ付いている家と家との狭い通路

べらぼー=馬鹿、馬鹿野郎、人を罵る言葉、酷い

ほとほとする=困りきる

まじくなう=表面を紛らかして取り繕う

まみえ=まゆ

みじんまく=自分の身の始末

みずがし=果物

みそっかす=子供の遊び仲間にも入れてもらえないような小さい子供

むきみやさん=筒っぽのような袖の上っ張り

やじょく=大工、左官、屋根屋など野外でする仕事、またその職業の人

やっちゃば=青物市場

やぼよー=つまらない用事、野暮な用事