Dialects Vol.12
(参考文献:三省堂「都道府県別全国方言小辞典 千葉県」)
◆Vol.12では千葉県の方言をご紹介します。
◆挨拶表現(銚子)
朝=おはよー
夕方=おしまいな
別れ=さよならー
感謝=ありがとう
訪問=ごめんください
◆千葉の方言
千葉県の方言は房総半島のほぼ中央を境に南北に分けられ、更に北部は東端の銚子に向かう県東北部の地域と、県西北部にいたる共通語の優勢な地域とに二分される。
県南部には「フーロ(袋)」「ハタエ(畑)」と言ったカ行子音の脱落現象が広く見られる。
県東北部では「フグロ(袋)」「ハダゲ(畑)」のようにタ行子音と共に有声化の傾向が見られ、ガ行子音は鼻濁音で発音される。更に、この一帯では「学校サ行グ(学校さ行く)」「見サ行グ(見さ行く)」のような助詞「サ」や、「コワイ(疲れる)」や「マキメ(つむじ)」「シタキ(唾)」など東北方言的特徴も多く見られる。紀伊半島から黒潮の流れに乗って「スグモ(籾殻)」「タグ(煮る)」「ニナウ(担ぐ)」などの関西方言も伝わっている。
◆「蟷螂」と「蜥蜴」
県北部では「蟷螂(カマキリ)」をトカゲ、県南部では「蜥蜴(トカゲ)」をカマキリ、カマゲッチョと言う地域が多く、奇妙な混線が生じている。
◆昼の挨拶
香取郡では昼の挨拶として「おあがんなさいまし」「おあがんなさいましたか」と言う表現がある。お昼を挟み、前者は「お食べなさい」、後者は「食べましたか」と言う意味である。食糧難の時代に食べたかどうかの確認によって相手を気遣っていた名残が感じられる。
今日の共通語では「お元気ですか」のように「健康」の確認によって相手を気遣っており、時代状況の変化を感じさせる。
◆銚子の言い伝え
「カラスニブッツゲルツヂモネエ、ネゴガソベグルホドモネエ(カラスにぶっつける土もねえ、ネコが寝そべる程もねえ)」。
土地も財産もない人をバカにした言葉。まだ一人前でない若者が生意気な時にたしなめる言葉。
◆分野別方言(左は標準語、右は都道府県別方言)
里芋=さといも
さつまいも=さつまいも
牛=うしめ
かたつむり=かたつむり
おたまじゃくし=たふぐ
梅雨=にゅーばい、しけ
かみなり=らいさま
夕立=かんだち、しぐれ
恐ろしい=おっかない
捨てる=うっちゃる
甘い=あまい
酸っぱい=すっぱい
塩辛い=からい、しょっぱい
大きい=いかい
小さい=ちゃこい
鬼ごっこ=おに、おにこ
かくれんぼ=かくれこ、かがみおに
瀬戸物=どやき
◆千葉県の特徴的な方言(カッコはその方言が話されている地域。また、カ行半濁点はガ行鼻濁音を表す)
あおなじみ=青あざ
あじょにもかじょにも=どうにもこうにも
あちこい=羨ましい
いまし=麦を煮たもの
うっちゃらかす=放っておく
うなう=耕す
うんならがす=はりきる
えしたくする=粗末に扱う
えしたくなる=古くなる
おかしい=恥ずかしい
おんもり=たくさん
がい=たくさん
かなつらい=だるい
かんこずねー=際限がない
がんだめし=芯のあるご飯
きーちゃう=困る、疲れる
くぐらける=もつれる、頭が混乱する
くさる=錆びる
けーがわりー=体の具合が悪い
ごじゃらっぱ=分からずや
こなす=けなす
ざっかけ=大雑把
すがれる=ねだられる
ずくむ=座り込む
だます=子供をあやす
ちっくり=背が低い、華奢
でご=大きい
てっぱる=無理をする、何とかする
でれ=のろま
なじょしべーか=どうしようか
のめる=家が衰える
はごた=余分、半端、不足
ひったてる=持ち上げる
ひでっぷしー=眩しい
ふーがわりー=格好悪い、体裁が悪い
ぶっくらかす=殴る
までる=しまう
もちゃぽい=飽きっぽい
もやもやしー=勿体無い
りきむ=自慢する、威張る
わーか=少し