Dialects Vol.11

(参考文献:三省堂「都道府県別全国方言小辞典 埼玉県」)

 

Vol.11では千葉県の方言をご紹介します。

 

◆挨拶表現(上尾市)

朝=おはよー

夕方=こんばんは

別れ=さいなら

感謝=すまねーねー

訪問=ごめんなせー

 

◆埼玉の方言

 埼玉県に方言は「関東のべーべー言葉」の領域に入り、「書くべー」「雨だんべー」「暑いべー」などと言う。

 ただ県内部に差があって、関東地方の方言の縮図と言える。東部は利根川を隔てた栃木・茨城の方言に近い。アクセントの区別が曖昧で、また発音の点では、語頭のイとエが混同され、七時(しちじ)の音色が「スツズ」に近くなる。

 県の中央部は西関東、ことに東京の下町言葉に近い。西の秩父地方は、群馬方言に近く、古い言葉を残し、歯切れのいい発音である。

 最近の若者で増えている東京新方言の一部は、埼玉起源または埼玉経由で区部に流入した。「〜みたく(〜のように)」、「ちがかった(違っていた)」、「うざったい(鬱陶しい)」、「かったるい(疲れた)」などである。従って埼玉方言は過去も現在も東京の言葉と連続的と言える。

 

◆明後日の翌日、翌々日

 東日本では元来、明後日の翌日は「やのあさって、やな(ね)さって」と言い、その翌日は「しあさって」と言っていた。だが東京都区内だけは関西の影響を受けて、明後日の翌日を「しあさって」と言うようになり、「やのあさって」が押し出されてその翌日になった。周辺の地域とまるで逆である。

 都区内と隣接する埼玉県はその影響をまともに受けた。東日本式と東京都区内式の境界線は、老年層では埼玉南部にあったのだが、若年層では群馬や栃木の南部まで北上してしまったようである。

 現在、埼玉県内は世代によって、南北によって、「やのあさって」と「しあさって」の意味が混在して非常にややこしい。

 埼玉県の人と日付の約束をする時は、「3日後」「4日後」と言った方がいいかもしれない。

 

◆分野別方言(左は標準語、右は都道府県別方言)

里芋=さといも

さつまいも=さつま

牛=うし

かたつむり=だいろ

おたまじゃくし=おたまがえる

梅雨=にゅーばい

かみなり=らいさま

夕立=ゆうだち

恐ろしい=おっかない

捨てる=うっちゃる

甘い=あまい

酸っぱい=すっぱい

塩辛い=からい、しょっぱい

大きい=でかい

小さい=ちっちゃい

鬼ごっこ=おに、おにこ

かくれんぼ=かくれこ

瀬戸物=せともの

 

◆埼玉県の特徴的な方言(カッコはその方言が話されている地域。また、カ行半濁点はガ行鼻濁音を表す)

あぐ=顎

あにー=兄

あめんぼー=つらら

あるって=歩いて

あんぶく=泡、あぶく

いくん?=行くのか?

うちんち=自分の家

うっちゃる=捨てる

えら=大層、たくさん、大変

おこさま=蚕

おちわ=団扇

おっぺす=押す

かたす=片付ける

かまぎっちょ=とかげ、かなへび

きぬー=昨日(東部を除く)

きびしょ=急須

くちべろ=唇

くね=垣根、生け垣

けなりー=うらやましい

けんむし=毛虫(東部を除く)

さむしー=寂しい(東部を除く)

しった=底、下

じゃんか=あばた

しょう=背負う

じょーり=草履

せんみ=蝉(秩父を除く)

たっぺ=霜柱

たぼこ=タバコ

ちっとんべー=少しばかり(東部を除く)

つばくろ=つばめ

どどめ=熟した桑の実

ぬくとい=暖かい、あったかい

ねんじん=にんじん

ひぼ=紐(東部を除く)

ふるしき=風呂敷

へーび=蛇(秩父を除く)

へーる=入る

べろ=舌

ほーたろ=蛍

ほりっこ=堀、用水堀(秩父を除く)

まみや=眉毛(秩父を除く)

むる=漏る

めめず=みみず

もす=燃やす

よさげだ=良さそうだ