第65回「蛇塚古墳」
京都・太秦。京福電鉄・帷子ノ辻駅から南へ徒歩10分ほど。住宅地に円を描くように道路が整備され、その真ん中にどーんと巨大な石がゴロゴロと転がっている。これが、蛇塚古墳だ。
この蛇塚古墳は6世紀末〜7世紀初頭に作られたとされ、現存する京都府の前方後円墳としては最後期に属するものだ。今は後円墳の部分しか残っておらず、前方部は宅地開発などで削り取られてしまったとされている。また、1920年頃まで墳丘の一部を残していたと言う。
名前の由来は石室内に蛇が棲息していたことに由来すると言う。
被葬者は不明ではあるが、この辺りを支配していた渡来人・秦氏の関係者ではないかと言われている。
古墳の全長は17.8mで、奈良県の石舞台古墳にも匹敵する規模だとされている。その石室内には家形石棺があったと伝わっている。確かに、見上げれば巨石の物凄い迫力があったし、石舞台古墳くらいの大きさがあるのも実際に見て分かった。
蛇塚古墳の石室の構造は、玄室の真ん中に羨道(玄室への通路)を取り付け、玄室の幅は羨道に比べて広くすると言う両袖型。側壁・奥壁とも巨石を2〜3段に積んで形成されるが、天井石は一石を遺存するのみ。この玄室内には家形石棺が存在したと伝わる。
石室の規模は玄室の幅の点では石舞台古墳を超える。また、玄室の床面積は全国第4位。
蛇塚古墳の石室はチャート(堆積岩)。石室石材がどこから運ばれたのかは不明。
石室域は1977年に国の史跡に指定。現在は崩落の危険があるため、石室内部が鉄枠で補強された上で、石室の周囲はフェンスで囲われて施錠され、普段は出入り出来ないようになっている。